大阪小児科学会は1970年に設立され、半世紀を超える歴史を誇り、開催されてきた学術集会も2026年に250回を迎えるという、伝統ある学会です。この度、前任の大薗恵一先生の後任として、この歴史ある大阪小児科学会の会長に就任いたしました。浅学菲才の身ではございますが、これまで本学会の歴史を築かれた諸先輩方のご尽力に改めて敬意を表しますとともに、先輩方が築き上げてこられた大阪小児科学会の名に恥じぬよう、会員の皆様と共に本学会の運営に尽力してまいりたいと存じます。
大阪小児科学会は設立以来、在阪5大学をはじめ、さまざまな立場の会員の皆様のご協力を得ながら、運営委員会や各種小委員会、学術集会、子どもの健康週間などを通じて、小児医療・医学に関する情報発信を行い、大阪の小児医療・医学を支える中核的な役割を担ってまいりました。初代会長の薮内百治先生をはじめ、西田勝先生、岡田伸太郎先生、山野恒一先生、永井利三郎先生、新宅治夫先生、大薗恵一先生といった歴代会長の先生方のご尽力により、学会員の意見を反映した学会運営がなされ、今日まで発展を続けております。
学術集会は、年3回開催される通常集会に加え、特定の臨床分野に焦点を当てた話題を提供する年1回の「日曜シンポジウム」と、計4回の集会が開催されております。通常集会では、一般演題が若手医師の発表の場となることが多く、なかには大阪小児科学会で学会発表デビューを果たした先生も数多くいらっしゃいます。また、教育講演では、その時々のトピックスを選定し、各分野の第一人者の先生方に講演をお願いすることで、会員の知識を更新していただく機会を提供すると同時に、日本小児科学会の小児科専門医更新単位の取得という実務的なニーズにも対応してきました。さらに、日曜シンポジウムでは「小児の腹痛」や「病原体診断における遺伝子解析の実際」など、専門性の高いテーマを掲げ、専門分野の知識を深める場として機能しています。このように、学術集会は若手医師の教育の場として、またベテラン医師の知識のアップデートや専門医資格更新を支える場として貢献してきたと考えます。
一方で、この50年の間に社会環境は大きく変化しています。2024年4月から施行された医師の働き方改革では、勤務時間の有効活用が求められる中、時間外業務と自己研鑽の線引き、そして若手医師や後輩が適切なライフワークバランスを取れるよう配慮しながらの指導が一層重要になっています。小児科医の人材育成は、大阪小児科学会の活動の中心的な柱であり、指導方法やキャリア形成支援についても柔軟な対応と新たな工夫が求められる時代となりました。
大阪小児科学会は、このような時代の変化に対応し、大阪の小児医療・医学のさらなる充実と発展を目指して、最適な方策を模索しながら活動を続けてまいります。会員の皆様と力を合わせ、子どもたちの健康と明るい未来のために尽力してまいりますので、今後ともどうぞよろしくお願い申し上げます。
|